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「ゴールデンカムイ」 戦闘シーン篇 [ゴールデンカムイ]

「戦いはまさに一瞬」

それは単純明快に「生命のやり取り」でしかない。





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不意をつくのは基本中の基本。

〇とにかく「強い」存在は?

「ゴールデンカムイ」で何が強いって言ったら「ヒグマ」。これしかない。

「バイオハザード」シリーズのタイラントの如く突然出現して恐怖のどん底に陥れる(ストーリー的には自然な流れで登場する)。あらゆる道具、武器、知恵を総動員して対処するしかなく、正直、アシリパさんが居なければヤバいシーンもある(アシリパさんがいても決して楽勝ではない)。戦争帰りの人間ですら手を焼くのが「ヒグマ」。

ヒグマこそが作品における絶対強者。
ある意味においてそのヒグマをも内包した「自然の厳しさ」があります。
※「自然の脅威」は後述

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ヒグマに襲われた人が埋められています。保存食です。
触ったら最後、執念深いヒグマが襲ってきます。



移動速度は単純にウサイン・ボルトより速い。
破壊力と耐久力は言うまでもなく、あの図体で忍び寄る時には足音がしない。
ヒグマの頭蓋骨は硬く、銃弾が弾かれる、反れることがある。
※アイヌにはヒグマの頭部を狙う習慣がない

「止め足」など、不意打ちや逃走のためのテクニックを使うことがある。

※「止め足」っていうのは、ヒグマなどの大型野生動物が狩猟者を巻くために、途中で足跡の通り後ずさりして、付近の藪に飛び込んで足跡を消す行為。

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熟練の兵士が接近に気づかず、一撃を喰らう


柔道家・牛山がヒグマを投げ飛ばすシーンがありますが、野生のヒグマではなくアイヌの村で飼育されていた個体。大外刈りで投げ飛ばされたがダメージを受けている描写がまったく無い。
投げ飛ばされて斜面を転がり落ち、そのまま山に帰っていきました。


〇急転直下の戦闘描写。基本は「無音」。
ゴールデンカムイの戦闘シーンは見せ方やスピーディさには定評があります。おおよその流れとしては、一旦危機が去って登場人物がホッとしてる時にページをめくったら思いもよらない方向から第三の敵や動物(ヒグマ。最近ではクズリ)に突然刺されてる!といった感じの、ページめくると急展開、静寂から「無音のダイナミクス」・・・って感じのものが多いです。

そしてあまり複雑なコトはしないのです。特別な技とか奥義的なことはありません。
受けと突き。凸と凹。見ている方がわかりやすいのです。この応酬を反射神経と経験と勘を織り交ぜてやるわけですが・・・たいへん泥臭さがあります。しかし、「運び」のテンポ良さによってあっさりと仕上がっています。



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〇人間が簡単に死なない

日露戦争後の話であるため、いわゆる「戦争帰り」のキャラが多いので、刺されたり斬られたり等の痛みによって行動不能になるキャラは殆どいないのが特徴。どのキャラも、骨折や指などが斬り落とされたくらいでは戦闘を止めません。顔面が吹っ飛んだらさすがに即死ですが、内臓ドロリくらいでは即座に行動不能になることもなく、一矢報いることくらいは当然のようにやります。


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ヒグマに急襲された第七師団兵。モブキャラでもこれくらいのことはやる。



熱さも意地も関係なく、いわゆる「喧嘩」ではない(ある意味、狩猟にも似た)「戦闘行為」がそこにあります。



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実際問題として上記のように喉を斬り裂けば大量出血(出血性ショック)するので継戦能力はほとんどなくなってしまいます。屈強なロシア兵なのでこれくらいの勢いで行かないととてもとても・・・。

〇ちょっと脇道。「即時行動停止」の概念

拳銃弾程度における即時行動停止(≒即死)の条件として、「脳幹〜延髄(小脳の呼吸中枢)の破壊」があります。即死というよりは、「引き金を引く余裕すらなくなる」と考えてください。

ただし、これら中枢神経は喉の奥などといったように非常に狙いにくい部位にあります。ハンドガンやサブマシンガン等の低威力の弾丸では非常に狙いにくい部位です。しかし、狙撃などに一般的に使用されるライフル弾は、拳銃弾とは破壊力が段違いですので、頭部に当たりさえすれば、周辺部位ごとまとめて吹き飛ばして、即時行動停止させることが可能です。「周辺部位ごと吹き飛ばす」ことで脳幹〜延髄を破壊するのです。

これは日本刀の袈裟斬り等よる「多臓器不全による即時行動停止」と似た感じかもしれませんね

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ライフル弾はとにかく頭部が吹き飛ぶ。
中枢神経ごと吹っ飛ばす。そう簡単に当たりませんけど。

もちろん拳銃が弱いということではなく、相手の状況次第によっては命中しても行動を停止しないことがある、そういう認識が必要ということです。弾数は限られているのですから。

一般人の感覚だと「拳銃は怖い」「スゴイ威力がある」というものですが、あきらかに薬物中毒である、なんらかの精神異常か強迫観念状態である、自爆テロ等であれば、日本の警察官の拳銃程度では正直抑止力に不安感があるのは無理もない事かと思います。生存本能にスイッチが入った闘争モードの大型獣はスラッグ弾で心臓ごと吹っ飛ばされても100mは走ることができます。もちろん、一般人ならばアドレナリンが全開状態の人間ですら手に負えません。

作中では、日露戦争時に自爆特攻をしてきたロシア兵に対して30年式歩兵銃で撃っても撃っても止まらず、谷垣が焦るシーンがあります。逆に、ロシアのマキシム機関銃でバタバタ日本兵が倒れていくのが対比的なんですが。

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素晴らしい戦闘描写。辺見と杉元。

主人公の相手は快楽連続殺人犯・辺見さん。必死の戦いの中で”殺されたい”という変態さん。
従軍経験も無い一般人とはいえ、「本気」と「経験」はバカにできない。



〇まず「武器」ありき

さて、上記でいろいろ書いてきましたが、まず武器ありきの戦闘であり、「素手」というのは如何に無力、無謀かがお分かりだと思います。もちろん対人格闘の基本として、あるいは武器もない最悪の状況と仮定して、徒手空拳の技術を習得しておくのは無駄ではありませんが、いかなる状況においても素手でやろうなんてことは考えない方がいいです。こちらが使わなくてもあちらが使ってくることはよくあることです。
※法的な云々はちょっと無視してますが・・・。

ゴールデンカムイの作品中でも素手の闘争は数えるほどしかありません。
まともな徒手格闘は主人公・杉元と「不敗の柔道王」こと牛山辰馬の乱闘と「樺太篇」の”スチェンカ”でしょうか。前者の場合は壁を利用して受け身を取ったり、投げつけたりするなど環境利用はしています。何より、この”柔道王”牛山辰馬ですら常に拳銃を携帯し、通常の戦闘では必ず使用しています。もちろん人を投げつけるのは常套手段です。後者のスチェンカはロシアの伝統的な素手の殴り合いです。一種の試合&ゲームなので戦闘とはまたちょっと異なると思います。

面白いところでは杉元のドロップキックがあります。非戦闘状態からの不意打ちで、同時に様子を見に来た双子の兵士相手にちょうどよかったのでしょう(笑)。



あと、戦闘描写の展開にスピード感をもたらしているのは武器の持ち換え、相手の武器の奪取と利用の描き方ですね。相手との間合い(距離)による武器の変化、武器を奪ったり奪われたりすることによる状況変化など、瞬間々々、目まぐるしく変化していく戦いを楽しめることができます。


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二階堂が杉元の懐に入り込んだ後、すばやく銃剣を抜いて刺突。


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杉元がその銃剣を口で受けて奪取。続けざまに銃の台尻で一撃を喰らわす。


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二階堂が義足の隠し銃を撃とうとするが、それに気づいてへし折おろうとする杉元。
どんどんと距離が狭まっていき、ここまでくるとゼロ距離の組討ちです。

〇三十年式歩兵銃と三十年式銃剣が代表的な武器

作中に出てくる武器はやはり小銃(30年式歩兵銃)と銃剣(30年式)が多いです。一般的な格闘漫画の設定としては銃弾を避ける達人なども出てきますが、やはりそこは銃の利便性はやはり評価されるべきものです。誰も銃を甘く見ていません。

主人公・杉元はオーソドックスに小銃と銃剣がメイン。土方歳三は日本刀とウィンチェスターライフルで斬るわ撃つわの大活躍です。



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1890年代に開発・採用された三十年式銃剣。
本作の代表的な武器のひとつ。刃長はおよそ40cm。


〇「〇×流武術」はあまり関係ないかな?

ゴールデンカムイは戦闘シーンが一つの売りではありますが、「武術」の達人というのが牛山辰馬以外、ほとんど出ていません。強いていうなら従軍経験のある兵士ならみな剣道・柔道・銃剣術の経験者です。もちろん主人公・杉元も柔道は得意ですし、「樺太篇」では剣の腕前も披露しました。牛山辰馬は「柔道」で「不敗の牛山」の二つ名を持ちます。土方歳三・永倉新八がごぞんじ「天然理心流」です。鶴見中尉の部下で薩摩隼人である鯉登少尉が「自顕流」。「人斬り篇」の人斬り用一郎は、モデルが岡田以蔵という事を考えると「鏡心明智流」・・・ベースの実践剣術でしょうか?

とはいえ、いずれもそう強調されることもなく、ひとつの個性、特技として描かれています。

非力な家永は薬品やホテルの仕掛けを利用しますし、白石でさえも関節外しや仕込み釘などで牛山に対抗するなど、みんな自分の特性を生かしてやっています。

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交渉決裂とみるや機先を制する。幕末を生き抜いた「鬼の副長」は伊達じゃありません。


〇パワーバランスが絶妙であり、「神武不殺」の達人はいない

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マイナス30度の寒気が吹きすさぶ中で川に転落。
活動限界は10分。


先述しましたが絶対強者のヒグマを含む「自然」そのものがすべての上に存在しています。
杉元も自然の脅威(寒波や闇夜、蝗害)には独力では立ち向かえません。
冷血漢の尾形でさえ寒波には焦ります(八甲田山の惨劇を知っているから余計に、という考察があります)。



単純に耐久力と戦闘勘の良さ、生存本能なら主人公である杉元がトップです。ただ、銃の扱いはあまり上手くない。

おそらく格闘戦では最強と思われる「不敗の柔道王」の牛山ですが、単純な殴り合いだけなら牛山よりも強い囚人の一人・岩息舞治(がんそくまいはる)が「樺太・スチェンカ篇」に登場しています。

銃も剣も達人であり、指揮を執っても巧みな土方歳三ですが、室内戦において若手の兵士(二階堂)にタックルを喰らい組み伏せられてしまっています。マウントを取った後、兵士がよそ見をしなければどうなっていたか分からない描写ですね。

「敵に回すと厄介」と鶴見中尉が評価する尾形百之助は、狙撃や銃の扱い、兵士としての総合能力ではダントツですが、格闘戦では杉元に敗れて逃走しています。新任の鯉登少尉は剣術の達人であり、軽業師が舌を巻くほどの身体能力を持ちますが、敬愛する鶴見中尉がいないとあまり役に立たない的な描写があります。

「脱獄王」にして「役立たず!(アシリパさん談)」である白石由竹は戦闘力など皆無・・・に見えるも、牛山をして「油断できない妖怪」と言われています。
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誰が強いか?というよりも、どうやって生き残るか? 生き延びて血反吐を吐くか? そういったことに焦点が当てられているゴールデンカムイの戦闘シーンでした。

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